問題
権利の取得や消滅に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 売買契約に基づいて土地の引渡しを受け、平穏に、かつ、公然と当該土地の占有を始めた買主は、当該土地が売主の所有物でなくても、売主が無権利者であることにつき善意で無過失であれば、即時に当該不動産の所有権を取得する。
- 所有権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは消滅し、その目的物は国庫に帰属する。
- 買主の売主に対する契約不適合を理由とする損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行する。
- 20年間、平穏に、かつ、公然と他人が所有する土地を占有した者は、占有取得の原因たる事実のいかんにかかわらず、当該土地の所有権を取得する。
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正解は3番
改題民法改正(令和2年4月施行)に伴う改題。肢3の『瑕疵担保による損害賠償請求権』を現行法の『契約不適合を理由とする損害賠償請求権』に改めた。旧法下の判例(最判平成13年11月27日)は瑕疵担保による損害賠償請求権にも消滅時効の適用があり引渡し時から進行するとしていたが、この理は現行の契約不適合責任にも妥当する。肢1・肢2・肢4は改正の影響を受けず、正解は肢3のまま。塾長監修で最終確認すること。
肢ごとの解説
×肢1
誤り。即時取得(民法192条)は動産についての制度であり、不動産には適用されない。土地(不動産)については、売主が無権利者であることにつき買主が善意無過失であっても、即時にその所有権を取得することはない。
根拠:民法192条
×肢2
誤り。消滅時効にかかる財産権から所有権は除かれており、所有権が消滅時効によって消滅することはない(民法166条2項参照)。したがって、20年間行使しなくても所有権が消滅し目的物が国庫に帰属するということはない。
根拠:民法166条2項
◯肢3
正しい。売買の目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合の買主の損害賠償請求権(契約不適合責任。民法564条・415条)は、債権として消滅時効の規定(民法166条1項)の適用を受ける。判例の趣旨からすれば、この消滅時効は買主が目的物の引渡しを受けた時から進行する。
根拠:民法166条1項・564条・判例
×肢4
誤り。取得時効による所有権の取得には『所有の意思をもって』占有すること(自主占有)が必要である(民法162条1項)。本記述は『所有の意思をもって』の要件を欠くから、占有取得の原因を問わず所有権を取得するとはいえず、誤りである。
根拠:民法162条1項
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※解説は学習用です。法令・判例は改正等により変わることがあります。受験にあたっては最新の法令・公式情報をご確認ください。