問題
AがA所有の甲土地をBに売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- Aが甲土地をBに売却する前にCにも売却していた場合、Cは所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができる。
- AがBの詐欺を理由に甲土地の売却の意思表示を取り消しても、取消しより前にBが甲土地をDに売却し、Dが所有権移転登記を備えた場合には、DがBの詐欺の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはDに対して甲土地の所有権を主張することができない。
- Aから甲土地を購入したBは、所有権移転登記を備えていなかった。Eがこれに乗じてBに高値で売りつけて利益を得る目的でAから甲土地を購入し所有権移転登記を備えた場合、EはBに対して甲土地の所有権を主張することができない。
- AB間の売買契約が、Bの意思表示の動機に錯誤があって締結されたものである場合、Bが所有権移転登記を備えていても、AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。
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正解は3番
改題民法改正(令和2年4月施行)に伴う改題。①錯誤の効果が『無効』から『取消し』に改められたため、肢4を現行法の構成に改めた(取消権者が表意者側に限られ、Aは主張できないという結論は不変)。②詐欺による取消しを対抗できない第三者の要件が『善意』から『善意でかつ過失がない』に加重されたため(96条3項)、肢2の解説を現行法に合わせた。正解3(背信的悪意者)は不変。塾長監修で最終確認すること。
肢ごとの解説
×肢1
誤り。不動産の二重譲渡において、譲受人相互は対抗関係に立ち、先に所有権移転登記を備えた者が優先する(民法177条)。Cは契約が先であっても、登記を備えていなければBに所有権を主張できない。
根拠:民法177条
×肢2
誤り。詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない(民法96条3項)。裏を返せば、第三者Dが詐欺の事実を知っていた(悪意)ときや、知らないことに過失があるときは、AはDに取消しを対抗でき、所有権を主張できる。「知っていたか否かにかかわらず」とする点が誤り。
根拠:民法96条3項
◯肢3
正しい。登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる背信的悪意者は、民法177条の「第三者」に当たらない。Bに高値で売りつけて利益を得る目的で購入したEは背信的悪意者であり、登記を備えていてもBに対して所有権を主張することはできない(判例)。
根拠:民法177条・判例
×肢4
誤り。錯誤による意思表示の取消しを主張できるのは表意者B側であって(民法120条2項)、相手方Aは取消権者ではない。なお、動機の錯誤(民法95条1項2号)は、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り取り消すことができる(同条2項)。
根拠:民法95条・120条2項
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※解説は学習用です。法令・判例は改正等により変わることがあります。受験にあたっては最新の法令・公式情報をご確認ください。